刺身の名脇役『ツマ』
こちらはいつかの私の夕飯です。
突然ですが、この中で『ツマ』はどれでしょう?
私達は普段、大根の千切りのなどを「ツマ」と呼んでいますが、実は少し違うようです。
まず私達が『ツマ』だと思っているものの本来の名前は『あしらい』
このあしらいは更に見た目や形、置く場所によってさらに「つま」「けん」「薬味」の3つに分けられます。
近年では、あしらいを総称して『ツマ』と呼ばれることが多いですが、厳密に分けるとこのように分けることができます。
「ツマ」は、刺身に添えられている飾り野菜や海藻などのことを言います。
この写真の中では、大葉やパセリ、わかめ、菊などが『ツマ』となります。
つま
諸説ありますが、端切れやヘリを意味する『褄(つま)』が語源だと考えられています。
つまはさらに位置によって呼び名が変わり、切り身に敷かれた大葉などの葉ものは“敷きづま”、紫芽じそや赤芽などの“芽づま”、防風や花穂じそなど刺身に立て掛けるように添える“立てづま”と分かれていきます。
大葉、あさつき、わかめ、パセリなどが代表的な食材と言えるでしょう。
剣(けん)
「けん」は千切りに切った細く尖った野菜のことを言います。
栄養バランスを整える目的や、刺身を食べたあとの口直しとして用意されています。
近年では、この剣が『ツマ』と呼ばれていることが多く大根、人参、きゅうりなどが一般的です。
薬味
薬味は文字通り薬味として使用したり、季節感を表現したりするために添えられているものです。
生魚独特のくさみを消す役割や見た目の彩りを良くする役割りを担っています。
わさびやしょうがなど、風味の強い食材が使われます。
栄養学的にみる『あしらい』
盛り付けや彩りを多彩にする『あしらい』ですが、それなら食べなくていいのでしょうか?
実は栄養学的にも理にかなった食品が選ばれており、捨ててしまうのはもったいないのです。
まず代表的な大根は、デンプン分解酵素のジアスターゼ、タンパク質分解酵素のステアーゼ、オキシターゼなどの酵素やビタミンCがたくさん含まれるために健胃作用があり、食中毒に効果があります。
ただ、酵素類は切ったりすりおろすと生成されますが、5分後をピークに減少してしまうので、スーパーのお刺身の底の大根に酵素的効果は期待できません。
ビタミンCも水溶性ビタミンなので、大量に作られるお惣菜の大根には、残っているのかあやしいものです。
自宅で作ることをお勧めします。
その他の『あしらい』にも様々な栄養学的利点があります。
- 大葉:独特の風味の成分であるペリルアルデヒドには防腐作用があり魚の中毒の解毒作用がある。
- にんじん:βカロチンには活性酸素を除去、感染症予防になり、人参に含まれているコハク酸カリウム塩には体内の有害な水銀を排除する作用がある。
- 菊の花:含有成分のグルタチオンに解毒効果や殺菌作用がある。
- わさび:辛味成分のアリルイソチオシアネートには殺菌作用があり、O-157や寄生虫、カビなどの細菌の繁殖を抑える
- しょうが:2つの辛味成分ジンゲロンとショウガオールが含まれている。それぞれ強力な殺菌作用があり食あたりを防ぐ効果がある。ジンゲロンにはさらに健胃作用があり、胃を保護してくれます。ショウガオールには血行を促すことによる鎮痛作用がある。
共通してみられるのが解毒や殺菌効果です。
今のように冷凍・冷蔵機器が発達していなかった頃、生で食べる刺身は食中毒の危険が今よりも深刻でした。
『あしらい』はそれを防ぐ為の先人の知恵というわけですね!
かつおのお刺身にも、やはり様々なあしらいが添えられています。
大根はもちろんですが、今の季節は新玉ねぎもおすすめです。
その理由はこちらで紹介しています。
この記事をよんで意味を知り、食べてみたくなっていただければ幸いです!
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