DXが世間に浸透して久しいですが、山福水産でも自治体の事業に参画したり、社内でも試行錯誤を重ねてはいつの間にか諦め…を繰り返しておりました。
そして、2023年度再び焼津市のDX支援事業によって、課題解決に向けて前進しました。山福水産デジタル化への道のりや、データドリブン経営支援事業に応募した背景とは。
まず、改めてDXについておさらいしました。同じく焼津市にあるIT企業の株式会社サンロフトさんの記事によると
- あらゆる領域のビジネスに、デジタルテクノロジーを統合すること
- 企業が事業を行い、顧客に価値を提供する方法を根本的に変えていくこと
- 現状の変革に挑戦し続け、新たなビジネスモデルを創出し、柔軟に変化し続けること
このように紹介されています。
詳しくはこちらをご参照ください⇒ 【DX入門】デジタルトランスフォーメーションとは_株式会社サンロフト
上記を踏まえ、自社のDXの現状を見返してみると…
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社内業務の課題
・あらゆる管理が紙を介して行われている(手書き伝票・データの紙共有)
・情報共有に手間と時間がかかっている
・社内ネットワークの整備が行き届いていない
・各部署にデジタル化に対応できる人材がいるか
・デジタル化について行ける人とそうでない人で二極化し、継続が困難
・何から始めてよいのか分からない、ノウハウがない -
現状できていること
・コーポレートサイトのリニューアル
・デジタルコンテンツを活用したWebマーケティング
・オンラインショップの立ち上げ
・工場直販部POSレジ導入主に会社の情報発信や、直販部においてはデジタルの導入がしやすいと感じました。
サイトのリニューアルでは、コンテンツを充実させることでより多くの方に知っていただき、問合せも増加しました。その他、当サイト『KATSUO LIFE HACK』を運営し社員がライターとなり、かつおにまつわる情報を発信し最終的にはECサイトへの導入を促す目的も含まれています。ECサイトの立ち上げでは、かつてFAXや電話で受注していたものを、サイト内で受注から支払いまでを完結でき、事務員の業務軽減、ミス防止に役立っております。
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今進めていること
・在庫管理システムを製造現場と連動させる
・データドリブン経営に挑戦在庫管理ではQRコードやバーコードを活用して、製造現場とシステムの情報を連動させ、ミスの軽減や手書き伝票廃止が目的です。
『データドリブン経営』は2023年10月~2024年3月の期間、焼津市の事業『スマートシティYAIZU』の一環で行われています。市内の中小企業5社を対象に5回の勉強会と対面フォローアップを行い、データドリブンの概念と簡単な技術を学びながら、自社の経営にどう活かせるかを考え、ノーコード・ローコードで自社に合うものを作り課題解決へと取り組みます。
◆データドリブン経営とは
今回は私たち水産加工業(製造業)における『データドリブン経営』についてお話しします。
伴走支援の講師であるナカタケテックの顧先生によると、『データドリブン』とは「データに基づいて意思決定や行動をすること」とされ、下記の流れでデータを活用し意思決定・アクションを起こすことです。
データの収集 ⇒ 分析(ビジュアル化・可視化) ⇒ 意思決定 (アクション) ⇒ 価値向上
今までは憶測で売上予測などを立てていましたが、過去のデータに基づくことでより正確な分析・予測が可能となります。
弊社においては、まずは身近な課題である業務改善目的として本事業に取り組むことにしました。
まずはアナログデータをデジタルデータとして収集し整理するところからスタート。今までのデータは煩雑で整理ができておらず分析までたどり着けませんでした。最終的には、原価に対しどれほどの利益があるのかいつでも一目で見れるようにすることをゴールに設定しました。
本事業はノーコード・ローコードと言われる、プログラミングの知識がなくても構築可能な、Microsoft365を使用します。データ収集は通常アンケートや投票などで使用されるFormsを使い、日々の生産結果を入力(回答)していきます。
その後収集データはPowerAutomate・PowerQueryを使い整理されたデータとしてエクセルファイルに反映、蓄積されていく仕組みです。回答フォームやアルゴリズムの構築は先生にお任せしました!
データドリブンに大切なことは、”いかに整理整頓されたデータベースをつくるか”とのことです。必要のない情報や見づらいデータはその後の工程にも影響してしまいます。
次に、整理されたデータはPowerBI(ビジネス・インデリジェンス)を使い分析されます。
必要なデータだけを抽出し、グラフや表にして売上の推移を分かりやすく可視化するだけでなく、年・月・週単位での推移をクリック一つで確認することもできます。
その他、実際に運用してみて感じたメリットは
- ネット環境さえあればスマホやタブレットで簡単にデータ入力が可能
- 手書き伝票が不要となり作業時間の短縮
- 原価・売上額・粗利益までデータを都度更新するだけで、常にリアルタイムで確認することができる
- データをシェアすることで場所や時間を問わず確認でき、情報共有の効率化を図ることができる
原価計算・生産・売上と分けて管理していた一連の流れを、1つのデータベースでまとめて管理し可視化したことで、より分析しやすくなる。これにより、売上予測や製造計画がより細かく正確に立てられること、製造部門だけでなく、直販においても顧客の流入元や購買データを蓄積し、売上傾向を分析してマーケティングに活かせることに期待しています。
◆まとめ
5回の勉強会と対面フォローアップを通して学んだことは、まずは目的を定め、達成のために逆算して戦略や手段を考えていくことです。今まで、目的がDXに向けられていたために戦略構築もせずにあれこれ手を出した結果、失敗していた理由はここにあると反省しました。
あくまでDXは手段であり、まずは第一歩として、社内の業務改善を目標に業務フローを見直しムダを削ったうえで、デジタル技術でさらに業務を簡素・効率化、人為的ミス防止、属人化解消へと進めていけたらと思います。
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