山福水産がつくる「海のめぐみたっぷりなお米」のはなし

2024.02.22
海から山へ、そして山から海へ。水産会社の山福水産がめぐみの循環で作るお米に込められた想いとは。

山福水産が米づくりを始め、今年で5年。
5年前、社長の見崎は「加工場で発生する、冷凍鰹・鮪の不可食部(頭や尾、骨など加工食品として出回らない部分)を何とか自社内で正しい価値のまま有効活用できないか。」と考えていたところ、肥料にして農業をやっちゃおう!と一念発起。いつも突拍子もない発想に驚かされますが、見崎のすごいところは必ず実行するところ。
数ある農産物のうち米を選んだ理由を「うちの鰹と鮪は米と食うのが一番うまいから!いつか、自分たちで作った米で自社製品とコラボさせたおむすび屋をやるのが目標」と語りました。

山福水産三代目社長 見崎 真

◆受け継いできた経営理念を新たな形で

山福水産は1960年に焼津の市場仲買人として創業し、現在の社長で3代と続く歴史ある会社です。創業当初からの経営理念、
『 お客様の立場でものを「みて」、お客様にとって最善になる仕事をする。「安心」で「安全」な製品を提供することで、お客様から「信用」「信頼」していただける会社として社会に貢献出来るよう努力し続ける 』をベースにしながら、新しい時代の流れを鋭敏にキャッチして、成長を続けています。

これは、今回の米づくりにも活かされています。
日々叫ばれる地球環境の悪化は水産業にとって深刻な問題です。海洋環境の悪化で生態系が崩れることが不漁につながり、お客さまへの安定した供給や事業継続への不安をもたらします。
そこで、有限で大切な海のめぐみを余すことなく活かすことで、海のめぐみをたくさん含んだ特別なお米の生産と同時に、土壌に溶けた栄養分は川に流れ出てまた海に還る。
水産会社だからこそ一貫してできる循環型の環境に優しい農業は、地球・海洋環境保全への貢献を目指す新たな取り組みとなっております。

加工前の冷凍まぐろ

頭や尾を切り落とす工程「バンドソー」

切り落された頭や尾の”不可食部”

◆5年経過して生まれたもの

通常田んぼは肥料を変えると、その肥料の土壌が出来上がるまでに3年もの期間を要すると言われています。
2019年に稲作を初めてから、昨年2023年で丸5年。4月から、山福水産にもアグリ事業部を設立し本格的な事業スタートを切り、7月には飲食店『 こめふく 』も誕生したことが、アグリ事業部が初めて事業として成立する第一歩となりました。
稲作を行っているのは、山福水産加工場で20年、かつお職人として従事してきた小長谷です。もちろん農業未経験で2018年に農家へ弟子入り、1年かけて稲作について学びました。
もともと、ものづくりが好きな小長谷は形が変われど、まっしぐらに取り組みました。
小長谷の米づくりインタビュー記事⇒かつお職人から米づくり農家へ50歳の転身

加工場時代の小長谷

田植え中の小長谷

こめふくオープニングメンバー

◆日本におけるコメ消費の減少にストップを

日本でのコメの消費は年々減少しています。要因には食文化の欧米化や人口減少などがあげられ、年間一人当たりの消費量は1962年の118㎏から、2022年では50.8㎏と半分以下です。(農林水産省HPより)
これを受け、山福のつくった米を食べることが地球環境保全への貢献にもなると新たな価値を与えること、また「 こめふく 」では ” お米そのものの味を味わってもらい、あらゆる世代にお米のおいしさや栄養を再認識してもらう “ こともコンセプトとし、新たなコメ消費の機会創出となればと思います。

収穫前の稲穂

出来たての塩むすび

やっと事業として形になった農業。たくさんの想いを込めて、5年という決して短くない年月をかけて大事に育ててきました。聞くと、構想自体は10年前ぐらいから考えていたそう。未来を見据えて限りある海の資源を農業用肥料として有効活用する。そして生まれるサイクルは地球にとって、同時に私たちの生活にとっても、良い影響をもたらすことに期待しています。

 

 

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