かつお職人から米づくり農家へ50歳の転身

2024.02.22
山福水産のアグリ事業部がつくるお米。かつお職人歴20年の小長谷が未経験で農家に弟子入り!その苦労や当時の思いを聞いてみました!

焼津と言えば水産事業。
山福水産も水産加工業として残滓を正しい価値で適切に活用したい、そんな思いから始まった山福水産の農業。2023年4月にはアグリ事業部として本格始動しました。
米づくりを任されたのは、元々ものづくりが好きで、仕事は丁寧で職人気質な加工課長を勤めていた小長谷 淳也( こながや じゅんや )。そんな小長谷に当時を振り返りながらインタビューしました。

加工場課長時代の小長谷

◆5年前、社長から「淳ちゃん、お米作って!」と言われたときのことを教えてください

ー農業に関してまったく知識も経験もない素人だから、どうしていいか分からない!本当にできるかなあ?っていう感じでした。

かつお職人の小長谷

まさかですよね、水産加工業なのに農業!?

 

◆どんなことから始めましたか?

ー石川さんというお米農家さんのもとに出向き、半年ほどお手伝いをしながら勉強しました。米作りというと、田植えして稲刈りと単純そうなイメージでしたが、いざ一緒にやってみると、田植えや稲刈りの前後で知らなかった工程などがたくさんで驚きました。稲作は田植えから稲刈りまででなく、田作りを1年を通して行うことも知りました。

会話中の石川さん(右)と小長谷(左)

◆それから、藤枝に田んぼを借りて独り立ちしたんですよね。

ー藤枝の花倉という山のふもとの田んぼを3枚借りました。約3年間、農作がされてなかったので、まずは田作りから始めるのですが、これが大変でした。除草作業を何度か行い、土壌を作っていきたいのに石川さんに教わった通りにやっても上手くいかず、苦戦しました。その土壌環境などで同じ作業をしても、全く違う結果になったりする。一筋縄ではいかないと、5年経った今でも石川さんに確認しながら、試行錯誤を繰り返す日々です。

初めて一人で挑戦する田んぼ

すべてが初めてで、思うようにいかないことが多いと焦りと不安が出てきますよね。
当時、ときどき課長がピリピリしてるなあ~って時がありましたが、まさにお米で苦戦中だったときなんでしょうか?!

◆5年経って慣れた部分や、小長谷部長なりのサイクルはできてきましたか?

ー3年経った頃で、ひとつひとつの作業自体は慣れてきたかなあ。
サイクルについては一応、年間のスケジュールを立てるけど、やっぱり自然相手の仕事。天候などによってかなり予定が狂ってしまうので、ところどころ不安定な部分があり、苦戦中。だから、周囲の田んぼのタイミングも見ながらやっていきます。
成長というか、何かトラブルが起きたとき原因の見当をすぐ見つけることができるようになったのは嬉しい。
それ通りにはいかずとも、常に先を読んで予測を立てておくルーティンができました。

◆水産業も農業も自然相手。自分ではどうしようもならない部分、モチベーションは?

水産加工業時代もそうでしたが農業も目標を設定して、その仕事をとにかく楽しもう!という気持ちを常に持ってやっています。
特に農業は稲の生長、田んぼの状況は待ってくれないので、今できることを常に考えて課題を整理しながら作業を進めています。いつも課題だらけでゴールもないので、農業には深みを感じます。
今はそれを楽しむ余裕も出てきたし、やっぱり仕事は大変なことが多いほど、よりやりがいを感じられるのかなと思いました。
あと、普段他の田んぼをよく見るようになったのですが、きれいに管理、田植えされている田んぼを見ると「負けてられない!」と刺激を受けます。周辺の農家さんとのコミュニケーションも楽しくて、「去年と比べてよくなったね~」など声をかけてもらえるのが励みになるし、素人でもちゃんとやれるってところを見せたい気持ちもあります。

水産加工業も農業も食品を作るという面では、「おいしいものをつくって、喜んでほしい!」と目指すところが同じです。
そこには加工に至るまでたくさんの人の協力があって成り立っています。だからこそおいしいお米を作って恩返しをしたいです。

収穫直前の田んぼを眺める小長谷

◆今回魚粉肥料を使っていますが、化成肥料との違いなどはありますか?

ー環境への配慮の面ではすごくいいと思っている。
今は、魚粉肥料での稲作をしているところは少ないので、物珍しさから声をかけてくれる人がいます(田んぼに水産会社の名前が入ったトラックが止まっている時点で不思議そうに見られるそう)。前例があまりないことや、土壌との相性もあるようなので、ちゃんと育ってくれるかの心配が常にあります。
3年経ったころから、魚粉肥料が土壌に馴染んできているはず。お米自体の味の変化なども感じられたら嬉しい。

かつおまぐろからできたペレット肥料

 

土壌も安定してきた2年目の田んぼ

◆5年経ち、これからアグリ事業部をどのように展開していきたいですか?

今年2024年は初めて農業とこめふくの運営を平行で行うため、今は正直なところいっぱいいっぱいですが、少しずつイベント出店にチャレンジしたり、収穫量も増えたらお米の販売などもやっていきたいです。

店長写真撮影時

仲良しの専務と一緒に

 

右も左も分からない農業の世界に入って5年、さらに初めての飲食店の店長までも任されました。今では「こめふくの優しい店長さん」とお客さまからも覚えてもらったり、少しずつお店の認知も広まっているかな?と感じます。今後とも、こめふくと小長谷をよろしくお願いいたします!

 

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