冷凍かつお職人の『みるチカラ』Vol.4 ロイン削り編

2021.02.19
ロイン工程もいよいよ終盤に。骨を除去し、お客さまに安心をお届けする削り職人の極意とは。3人の職人にインタビューしてみました。

削り職人のみなさん

みるチカラシリーズVol.4は、バンドソーで四つ割され、最終形態へと整形する「削り」です。
この「削り」と呼ばれる加工は、高速で回転する刃に超低温(約-60°)冷凍状態のかつおの節を当て、骨や余分な皮を機械で削り取る工程です。

普段みなさんの食卓に並ぶかつおに、ほとんど骨はついていませんよね。広い海を年中泳ぎ回る回遊魚といわれる鰹の骨は固くしっかりしています。お客様が安全に食べられるように、毎日削り職人たちがこの仕事をしています。
ここでも職人が一本一本手に取り、丁寧に削っていきます。

どのような作業をしているのか、文章ではイメージが難しいと思いますので、まずは下の動画をご覧ください。

かつおは四つに割ると、背中側の節(通称:男節、背節)が2本、お腹側の節(女節、腹節)が2本に分かれます。
男節はバンドソーからそのまま、女節は内臓がついているため、ワタ抜き・腹スリ工程を経て削りに流れていきます。(↓写真①)

写真①

写真②

サイズや形、削りの形態でも異なりますが、写真②の状態まで、一本当たりおよそ20~40秒で仕上げます。
かつお2.5㎏上を1日約10トンの加工、節にすると約20,000本となります。さらに一人当たりに換算すると2,000本。すごい量ですよね。加工時間は決まっていますから、一定のスピードで能率よく作業をする必要があります。なので、丁寧に削りたいからとゆっくり削ると能率が落ちますし、速さだけを求め雑になるのも品質の低下につながります。いかに安定した作業ができるかが重要となりそうですね。

では職人たちは日頃どんなことに意識して仕事をしているのでしょうか。今回インタビューに応じてくれたのは、増田剛実さん、横馬司さん、佐藤寛朗さんの3人。

初めて削りをする前と実際に行ったあとで作業へのイメージの変化はありましたか?

剛実さん:刃物が高速で回っているので単純に怖かったです。

横馬さん:見本と同じ形にするだけですが、機械に対しての立ち位置、刃を通す向きや角度、力の加減で全く違う形状になるので、まさに職人技であることを、その難しさを感じました。

佐藤さん:1秒に300回転している刃に魚を当てて削ると聞いて「怖い!」と思いましたが、やってみると「意外と怖がらずできるな」と思いました。

やはり、いくら安全装備をしているとはいえ、高速で回転する刃ですから”常に危険と隣り合わせである”という緊張感がよく伝わってきますね。

自分のこだわりや工夫はありますか?

剛実さん:魚のサイズの違い、変形したものがあるので、刃の通し方や力加減を工夫しています。

横馬さん:手順、やりやすさを守り、一日を通してなるべく同じペースを保ち、自分の流れをつくる。目先の作業に集中することですね。

佐藤さん:最近は可能な限り、ムダな動きをなくすことにこだわっています。

作業に慣れてきたら、次のステップとして自分なりの法則やこだわりを見つける、作業は同じでも、それぞれ違うのが興味深いところです。

削りのお仕事を通して、やりがいや達成感を感じることってなんですか?

剛実さん:魚を溜めずに、流れ良く進められたとき。

横馬さん:ライン全員で一つの製品を作り上げ、目標の能率や金額を達成したときに喜びを感じます。

佐藤さん:8,9人が削った魚をやりきったとき、達成感を感じますね。

 

日々同じ作業のルーティンですが、その時々で感じるやりがいは新鮮。
また、一つの製造ラインとしてチームメンバーと一緒に目標に向かい努力し、達成したときの喜びはひとしおなようです。

では、逆に大変だと思うことはありますか?

剛実さん:1本1本魚の形や、骨の入り方が違うので、それに合わせて削るのが大変です。

横馬さん:毎日ほぼ同じ作業なので、慣れから雑な作業になりやすく、ケガの元となるので日々気を付けていますね。また、主任として自分の考えを伝えたり、理解してもらうことの難しさも感じます。

佐藤さん:現在、尾ひれを取るポジションにいるのですが、基本流れてくる魚すべて一人でこなすことになるので、8~9人分の削った魚が流れてくるときは大変ですね。

作業だけでなく、コミュニケーションの面でも苦労をする、ライン作業として互いの意思の疎通が大切なことがよく分かります。

山福のかつおを食べてくれているお客様へのメッセージをお願いします!

剛実さん:骨や余分な皮を残さないように、十分注意して良い商品をお届けできるように頑張ります!

横馬さん:日々、形状や骨残りなどに注意し、より良い品質の製品をお届けできればと思って加工しております。

佐藤さん:僕たちが一生懸命削ったかつおを、おいしく食べていただき、ありがとうございます!

ベトナムからの技能実習生のみなさんも職人として頑張ってくれています!

 

職人さんの休日の過ごし方を聞いてみました

剛実さん:僕は秘密です(笑)

横馬さん:30代になり、何かやりたいなと思って、料理を作り始めました。特別すごいものでもないですが、子供と一緒に作り過ごす時間を楽しんでいます。ほかに、休日は海外ドラマを見ることも多いです。

佐藤さん:ゲームばかりやってます(笑)

秘密主義の剛実さんの趣味が気になるところですが、みなさん、休日は家でのんびり趣味に没頭して日々の疲れを癒しているようですね♪

 

 “お客様に安心しておいしく食べてもらいたい!”という思いが込められ、職人たちが一本一本手作業で削り、かつおが商品へと変身していきます。みなさんがかつおを食べるとき、食卓に並ぶまでのストーリーを少しだけでも思い出していただけたら嬉しいです^^

 

冷凍かつお職人の「みるチカラ」シリーズのバックナンバーは下記リンクよりご覧いただけます。
Vol.1 市場仲買人
Vol.2 ロイン バンドソーVol.3 ロイン ワタ抜き・腹スリ

 

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