こんにちは。
ライターあきのです。KATSUO LIFE HACKもオープンより3か月が経ちました。ようやく「焼津の魚屋が発信するかつお情報メディア」として少しずつではありますが形になり始め、ライター一同気合が入っております。
さて、先月頭に2020年の1月のかつお漁獲状況を更新しましたが、今回は2月の焼津漁港での冷凍かつお漁獲・水揚げ状況、また今後の予測をお伝えします。今回も山福水産の仲買人として19年の増田さんにお話を伺いました。
過去と翌月以降もご覧いただけます。2020年1月/3月/4月/5月
水揚げ状況
2月に水揚げされたかつおは昨年2019年末から2020年2月中に中南~南方の太平洋で漁獲されました。水揚げ数量、漁場は下図のとおりで、1月に引き続きサイズも小さく、数量も昨年よりも減少しております。また、1月と比べ漁獲量は50%ほどです。
この時期は毎年、ドック入りと言われる大型船のメンテナンスを行う時期となっており、操業隻数が少ないため数量の減少は見込まれているのですが、全体的に不漁であることは数字として表されています。
そして、前回の記事でもお伝えしましたが、本来いるはずの漁場の水温が上昇していることなどが原因となりかつおの群れを見つけることが困難な状況であること、また見つかったとしてもかつお自体の数も減っているため漁獲、水揚げ数量の落ち込みにつながっていると思われます。
相場
前年2019年対比で、おおよそ水揚げ量は20%、金額は40%にとどまり、したがって単価はキロ当たり150%と高騰しています。
漁場・漁獲状況(※漁場の表記N:北緯/S:南緯/E:東経/W:西経)
2月4日には1隻がN8°/東経E170°漁場(図内★の位置)で25トンの漁を行い、燃料に余裕のある船も相次いでそちらに向かいました。また、その他の船はN5~7°/E175°で操業、こちらは一日平均して10トン未満だったようです。
その後、下図にも示しましたが2週目、3週目とN10~S10°/E170~180°で探し、2月21日~24日にはマーシャル諸島周辺のN10°/E175°の位置で群れが見つかり、1隻あたり25~30トンの漁獲が行えました。
例年であれば、中南方(N10~20°線)のE165~175°を東西に行き来しながら群れを見つけての操業が可能でしたが、今年は操業隻数も少ないことや、かつおがN10~20°線にいないため東西だけでなく南北(N10~S10°)での縦の動きも必要となりました。
その一因でもあるのが、昨年に比べさらに海全体の水温が上昇していること(昨年と比べ同漁場で2~3℃高い29~30℃)。そしてこの3月上旬、すでに日本近海まで黒潮が北上しており、日本近海の海水温はかつおが好む20~23℃となっています。
この状況から中型一本釣り船と呼ばれ、生鮮での水揚げを行う船による日本近海周辺での漁も始まっています。日本近海での海況次第で中型船が連日、かつおとビンチョウまぐろの大きな漁を行うようになれば、大型冷凍一本釣り船も日本近海に漁場を移動するのではないかと予測されております。
よって、大型船は今後の操業で日本近海を北上するかつおやビンチョウまぐろを対象にした操業を視野に入れ、赤道以南の距離のある漁場までには及ばないと見られています。
また、海水温の上昇により、例年よりも早く中南方から日本近海へ漁場が切り替わると予想されます。※例年では黒潮が北上し始める5月GWあたりで切り替わる
漁獲サイズ
こちらも先月に引き続き、例年に比べやや小さめの鰹が漁獲されております。それは、漁場がかつおの産卵が行われる赤道付近の亜熱帯海流に近く、まだ成長途中のやや小さめのかつおが多くいるからです。赤道より北(N15~20°)では比較的大きな7㎏以上サイズが見られます。
本来この時期の中南方漁場で獲れるべき4.5㎏以上サイズの不足、全体的な不漁は大サイズの価格の高騰や、供給が満足に行えなくなってしまうなど、仕入れを行う立場としては、大きな痛手となっているとのことでした。
これから初鰹シーズンを迎えるにあたり、この厳しい状況が少しでも良くなることに期待しますが、そのためには、前回にもお伝えした通り、海の温暖化防止に努め、かつおやその他の海洋生物が住みやすい海洋環境にしていく必要があります。これには長い年月が掛かりますが、皆さんが普段の生活の中で少しでも意識を変えることが改善につながっていくはずです。
今年も、その先もおいしい初鰹を食べることができるよう、皆さんのご協力をお願いいたします。
また南方で漁獲されたおいしいかつおの簡単レシピも来週木曜日から更新が始まりますのでぜひよろしくお願いします。
EATよりレシピ一覧をご覧いただけます♪
※当記事内で記述されている漁業状況の原因または予測につきまして、あくまで一説であり、その他にも多くの要因がありますから、ご参考までにお読みください。
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