冷凍かつお職人の「みるチカラ」シリーズVol.3です。前回は製品の要となる、ロイン部のバンドソー職人についてお伝えしました。
今回は、次の工程である下の写真の「女節(めぶし)」と呼ばれる腹側の節の加工をご紹介します。
かつおも人間と同様、腹側に内蔵(ワタ)が詰まっています。そして食べるときには当然きれいに除去されていますね。さて、この内臓はどのように取り除いているのでしょうか。
皆様が安心して食べられるよう、女節の身をきれいにする2つの工程についてご紹介します。
ワタ抜き
まず、バンドソーから流れてきた女節から内臓を抜く「ワタ抜き」と呼ばれるこの作業は、ハンマーを使い、頭側を叩くとスポンと抜くことができます。
見た限りでは、ええ!こんな簡単に取れるの!と驚きますが、これには力加減と狙い通りの場所にハンマーを打つという技術が必要なんです。
腹スリ
ワタ抜きで内臓を除去した身の面をきれいに、そして骨を除去して下の状態になります。腹の身は薄く、削りすぎないように高度な技術が必要となります。動画をご覧ください。
腹スリ職人の仕事について聞いてみました。
●腹スリをやってみようと思ったきっかけを教えてください。
―臼井さん(歴15年):成形機をマスターしたので、次は違う刃の形でもやってみたいと思ったから。
―大庭さん(歴10年):前職から続けてきたこと、そして当時、他にできる人がいなかったから。
―青島さん(歴5年):削りの基本的な作業にも慣れ、他の作業にも興味を持ったところに声をかけてもらったので、挑戦することにしました。
●作業において自分なりの工夫やこだわりってありますか?
―臼井さん:1回刃に通しただけで全部きれいに削り取れた時。
―大庭さん:何にしてもそうですが、あたふたすると、ケガの原因にもつながるので気を付けながら行っています。特に、変形した魚や割れているもの、ワタが残っている魚などは力加減を工夫しています。
―青島さん:身に骨が残らないように、一本一本丁寧に作業するように心がけています。
●では、大変だったことはありますか?
―臼井さん:高速で回転している刃に魚を当てるので、ケガをしないように集中してやること。
―大庭さん:10㎏以上サイズの大きいビンチョウなどは重いですし、腹の中に砂が混じっていたりして、すぐに刃が切れなくなってしまったりするので大変です。
―青島さん:魚のサイズが小さいと力の入れ具合によって、ハラモを貫通してしまうので大変です。
●この仕事において、やりがいや嬉しかったことを教えてください。
―臼井さん:バンドソー4人に対して腹スリ2人でやり切った時!!
―大庭さん:色々なことをやるよりも、同じ作業を黙々と進めていくことが自分の性格に合っているため、それが自分にとってのやりがいです。
―青島さん:骨を残さずできたり、魚を溜めることなくスムーズに流すことができたときに達成感を感じます。
●最後にかつおを食べてくれている皆さまへのメッセージをお願いします。
―臼井さん:これからも皆様に山福水産のかつおを、おいしく召し上がって頂けるよう、頑張っていきます!
―大庭さん:骨残りが無いよう、十分気を付けています。良い製品を皆様にお届けできるよう、精進したいと思います!
―青島さん:毎日丁寧にかつおを加工しています。山福水産の商品を食べてくれているお客様のために頑張っております!
腹スリもバンドソー同様に、高速で回転する刃を使用しているので、危険が伴う作業です。魚のサイズや形によって力加減を調整したり、当然ながら削ってしまったところをやり直すこともできないので、集中して丁寧に行う必要があります。
また一つのことに対し、長時間集中力を持続させることも容易ではありません。日々それぞれ目標をもって黙々と安定した作業をすることが技術の向上につながり、品質の安定した製品を作り続けていくことへの秘訣と言えますね。
「みるチカラ」Vol.1市場・仲買人 / Vol.2ロインバンドソー
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