今回は、増田さんと毎朝焼津魚市場でかつおを買付している見崎専務に取材しました。
2020年はあっという間の一年でした。歴史的大不漁となった2020年の1月から水揚げ状況を取材してきて、冷凍かつお業界の苦悩をダイレクトに感じてきました。そして、自然相手の業界の厳しさ、自分たちのではどうすることもできない、回復を待つしかないことへのもどかしさもよく分かりました。
今年は、好漁の年となるといいのですが。。。
それでは、11・12月の水揚げ結果からお伝えします。
水揚げ結果
11月は4隻分の水揚げとなり、不漁が始まった2019年の11月から約1年、嬉しいことに南方漁は昨年の約150%となりました。少しずつですが回復の兆しが見えてきたようで嬉しいですね。こちらの漁場等は10月の記事をご参照ください。
12月は7隻の水揚げ、各船ほぼ満船での入港でした!ようやく先月より、2019年末の不漁から少し回復し、昨年比250%となりました。需要の多い4.5㎏上は11月の25トン/隻に比べ、12月は125トン/隻と150%増。しかし、漁場の大きな動きもないため、いまだ7㎏上が全体の60%を占めており、4.5㎏上は安定しておりません。(2.5㎏上も一本釣りでは本来需要が高いのですが、数量と相場も安定し、品質に大きな差がないPS旋網船の鰹でまかなっているようです。)
相場
11月
サイズ | 2019/11 | 2020/11/7 | 2020/11/10 | 2020/11/21 | 2020/11/24 |
7上 | @251 | @280 | @280~270 | @265~260 | @255 |
4.5上 | @281 | @420 | @400 | @350 | @340~330 |
2.5上 | @261 | @430 | @430~425 | @380 | @370 |
1.5上 | @140 | – | – | – | – |
昨年から続く不漁により、メーカー各社先の読めない状況にあるため、需要が増え、今年より水揚げ量が少なかった昨年よりも高騰しています。しかし、4.5,7上は漁も安定し始めていることもあり、日を追うごとに少しずつ下がっています。2.5上サイズは未だ漁獲数がまとまらず、相場は高止まりとなっております。
12月
サイズ\水揚日 | 2019/12 | ‘20/12/1 | 12/2 | 12/4 | ||||
7上 | @214 | 190t | @246-241 | 240t | @240-220 | 230t | @215-210 | |
4.5上 | @225 | 120t | @330-205 | 90t | @300-280 | 80t | @280 | |
2.5上 | @238 | 40t | @370 | 20t | @330-325 | 10t | @330 | |
1.5上 | @194 | – | @- | 5t | @250 | – | @- | |
サイズ\水揚日 | 12/5 | 12/7 | 12/23 | 12/25 | ||||
7上 | 170t | @215 | 190t | @226 | 140t | @230 | 30t | @235 |
4.5上 | 70t | @280-275 | 100t | @280 | 170t | @250 | 50t | @280 |
2.5上 | 10t | @330 | 20t | @330 | 40t | @285 | 15t | @285 |
1.5上 | – | @- | @- | 10t | @250 | – | @- |
12月後半には4.5㎏上が増加してきたため、相場も落ち着いてきました。7㎏上は昨年比で平均約107%、漁獲数量は増えましたが、相場は下がることはありませんでした。しかし各サイズにおいて一時期、昨年の倍近く高騰したときと比べると、例年の平均相場に近い値で安定してきたと思われます。
海域・サイズ
11月の主漁場は10月とあまり変化がありませんが、上旬で南緯20~23°/東経155~160°で、下旬には少し南下した南緯15~18°/東経150~155°、海水温は28~30°。
漁獲数は5~10トン/日で平均航海日数は約40日と順調な航海となっているようです。(上図参照)
上旬には7㎏上が主体、下旬になるにつれ4.5㎏上の比率が上昇したようです。今年よく話題に上がっていた日本近海における海面水温の上昇(ラニーニャ現象※下図参照)により、暖かいところを好むと言われる、特大・特々大サイズが中南域でも多くみられました。また、生鮮鰹中型一本釣り船は11月20日あたりで今年の近海は終了となりました。
12月の主漁場は、先月の予想でさらに南下するとされましたが、この時期の南太平洋は偏西風(貿易風)により冷たい海水が西に押され、海水温が下がることでかつおの群れも少ないため、引き続き中南での操業となりました。
2隻はタスマン沖(ニュージーランドとオーストラリア間あたり)に向かい、漁をしました。タスマン沖は、9~10月の日本近海沖と同じ環境条件と言われており、日本近海の品質に近いかつおが漁獲されるようです。
漁獲サイズは12月上旬では4.5上、下旬には7上が主体となったようです。操業隻数は19隻、航海日数は約40~50日、1日当たりの平均漁獲数量は約6~8トン。
今後の予想
1月から各船ドック入り(船のメンテナンス)の時期となり、2,3月の水揚隻数が減少すると予想されます。操業域は11,12月とあまり変わらず、中南に留まると見込まれています。
仲買人として、2020年を振り返って…
見崎専務:
約20年買付業務をしてきた中で、一番苦労した年でした。一年通しての原料確保ではもちろん、特に夏の近海漁では需要の高い小サイズの鰹がほとんど獲れず、お客様の要望に応えることができないことへのもどかしさ、でも自分ではどうしようもできないことがほとんどで、かなりジレンマがありました。
正直もう経験したくない!そんな一年でしたね。今年は少しでも良くなることに期待しています!
過去の記事はこちら2020年1月・2月・3月・4月・5月・6月・7月・8月・9月・10月
最新情報をお届けします
Twitter で山福水産株式会社をフォローしよう!
Follow @yaizu_yamafuku