こんにちは!
今年もまた初鰹のシーズンがやってきます。
(かつおシーズンについてはこちらをご覧ください。)
その前に、2020年1月のかつおの漁業状況について調査しました。聞いたのは山福水産仲買人の増田さん。山福水産で仲買人として19年、様々な経験を積みその目は確かです。
増田さんのお仕事の記事は前号をどうぞ。
1月は前年10~12月に出港した遠洋一本釣り冷凍船が漁を終えて焼津漁港へ入港し、水揚げが行われます。
今回の一本釣り漁での漁場、航海期間、漁獲量、相場は例年と比べてどのような変化があったのでしょうか。
翌月以降のデータもご覧いただけます。2020年2月/3月/4月/5月
漁場の変化
この時期は日本近海の気候が荒れ、水温も低くなるため、鰹一本釣り船は温かい中南方の海で漁業を行います。
まず、鰹は20~23℃の水温を好むので、「E150°/N20°」あたりから群れを探し始め、例年は下図にあるように、その付近での操業となります。
しかし去年に比べ同漁場の水温が低く、鰹の群れが確認できませんでした。そうすると、さらに水温の高いところへと船は南下していきます。そして今回実際に漁獲が行われた漁場は昨年より倍も距離のある赤道も超えた亜熱帯海域。緯度「E170°~180°」経度「S9°」でした。これに関しては明確な原因は解明できておりませんが、近年の異常気象よる海流の変化ではないか、という見解が多いようです。
※例年の漁場までは焼津港を出港し約5日間、2019年末の漁場までは平均10日間と、日数としても倍かかってしまいます。
航海期間
通常は同時期で往復で約10日、漁獲期間が大体1か月ほどですが、前述したように今回は例年よりも漁場が南下したため往復日数が倍の20日近くかかり、例年よりも長い約2か月の航海となりました。
漁獲量
近年加速する気候変動は海洋環境にも大きな影響を及ぼしており、2019年の平均海水温は観測史上で最大値を記録したとのことです。しかし、本来かつおのいるべき海の水温は低かったりと、想定外の海の様子に漁業関係者たちも戸惑っているようです。一度に積める船の燃料は限られており、満足に漁業を行うことができないこともあります。
漁獲サイズ
また、漁獲されたかつおのサイズにも変化が見られました。通常、中南方と呼ばれるこちらの漁場ではサイズの大きい4.5~7(㎏)上のかつおが漁獲されます。しかし、昨年末から今年1月にかけての漁場では主に2.5~4.5(㎏)上の少々小さめのかつおでした。中には1.5(㎏)上も。サイズが小さければその分漁獲量としても減ってきてしまいますね。
相場
相場は、全体的な漁獲量の落ち込み、赤身のきれいな大サイズの不足や、大型一本釣り船のメンテナンス時期で漁に出ることができないことから全体的に高騰傾向にあります。2019年の同時期よりも約1.4倍の価格となりました。
以上のことから、今年2020年1月はかつおは漁場の変化などにより全体的に漁獲量は減少しており、サイズは小さめ、そして相場は昨年2019年に比べて高騰傾向にあることがわかりました。
このように海洋環境の悪化も漁業に大きく関わっているのです。私たちがおいしいかつおをいつまでも食べることができるよう、海洋環境・資源の保護のためにできることから始めていきたいですね。
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